2025年11月21日
【この記事について】
この記事は、Googleのコーディングエージェント「Jules」に構成の骨子を作成させ、人間(筆者)が加筆・修正(ほぼ何もしないようにしています)を行っています。
従来は「ChatGPTで壁打ち→Claudeで構成」というフローでしたが、今回は「Julesによるリポジトリ直接編集」という新しい手法を試しています。
そのため、記事の内容に事実と違っていることもあるかもしれませんし、個人的な印象とはちょっと違ってる部分もありますが、あくまで「実験」として読んでみてください。
ほぼ手直し入れてないものなのですが、ここまで書かれるとちょっと驚愕です。
「ブログを書くならClaude一択」
ここ最近、AI利用のブロガー界隈ではそんな常識が定着していました。
特に2024年に登場したArtifacts機能は、プレビューを見ながら記事を構成できる点で革命的でした。これ、本当に便利ですよね。
しかし、2025年後半。その常識にも、少しずつ揺らぎが見え始めています。
Googleが送り出した自律型コーディングエージェント「Jules」の登場です。
「え? Julesってプログラムを書くAIでしょ?」と思った方。その通りです。
ですが、「Markdownファイルもコードの一種」と捉えれば、話は変わります。
今回は、「あえてClaudeではなく、本来はコーディング用AIであるJulesを使ってこの記事を書く」という実験を行ってみました。
その過程で見えてきた、チャットボット(Claude)とエージェント(Jules)の決定的な違いについてレポートします。
「チャット疲れ」していませんか?
Julesの話をする前に、少しだけ時計の針を戻させてください。私たちがこれまで、どうやってAIと記事を書いてきたか。
フェーズ1:ChatGPT Plusとの「終わらない壁打ち」
最初に私たちが手にしたのはChatGPT Plusでした。
ネタ出しやブレインストーミングには最高です。しかし、記事の構成案を出してもらい、本文を書いてもらうまでには、何度もチャットのラリーが必要でした。
「次は導入部分を書いて」「もう少しトーンを柔らかく」「いや、そこは箇条書きで」──。
思考の壁打ちは楽しいけれど、チャット画面とエディタを行き来しながら、何度もプロンプトを調整する時間は、決して短くありませんでした。
フェーズ2:Claude Artifactsによる「プレビュー革命」
そこに現れたのがClaudeです。Artifacts機能により、右画面でプレビューを見ながら構成できるようになりました。これは劇的な進化でした。
しかし、それでも「ラストワンマイル」は人間の手作業でした。
ブラウザで完成したMarkdownをコピーし、VS Codeを開き、新規ファイルを作り、ペーストし、Gitコマンドを叩く。
(地味に面倒なんですよね、この「コピペ&整形」作業・・・)
フェーズ3:Julesという「同僚」
そして今、Julesの登場により、フェーズは変わりつつあります。
使ってみて感じた最大の違い。それは「当事者感」です。
Julesは、ブラウザの向こう側にいる「コンサルタント」ではなく、リポジトリの中に住んでいる「編集部員」なのです。
Julesは「部外者」ではなく「編集部員」
私が「記事を書いて」と頼むと、Julesはプロジェクト内にあらかじめ配置しておいた AGENTS.md(※私が用意した独自の執筆ガイドライン)を読みに行き、既存の記事のトーンを学習し、draft/ ディレクトリにファイルを直接生成しました。
本来、Julesは機能追加やバグ修正のためのプルリクエストを作成するツールです。しかし、「記事を書く」という行為を「テキストファイルの作成コミット」として処理させることで、驚くべき効率化が実現しました。
この「リポジトリのコンテキストを呼吸している」感覚こそが、Julesの真骨頂です。
なぜJulesだと「執筆体験」が変わるのか?
「テキストを生成する」能力だけで見れば、Claude 3.7と、JulesのエンジンであるGemini 3に大きな差はないかもしれません。
しかし、「執筆というタスクを完遂する」能力において、Julesは頭一つ抜けています。
理由は以下の2点です。
① 環境への直接介入(Execution)
Claudeで記事を書くとき、ディレクトリ構成やファイル名は人間が教える必要がありました。
今回、Julesは私が指示する前に「draft/ ディレクトリがないので作成します」と宣言し、mkdir コマンドを実行しました。
$ mkdir -p draft
「提案」ではなく「実行」ができる。これがエージェントの強みです。
(勝手にやってくれるの、最初はちょっと怖いけど慣れると楽すぎる・・・)
② 暗黙知の理解(Context Awareness)
ClaudeやChatGPTでは、毎回「口調は?」「ターゲットは?」とプロンプトで指定する必要がありました。
Julesは、リポジトリに置いたカスタムルール AGENTS.md を自律的に参照しました。
- 「読者層:エンジニア」
- 「禁止事項:いかがでしたかブログ」
これらのルールを黙って読み取り、最初からそのトーンでドラフトを書き上げてきたのです。
何も言わなくても空気を読んでくれる。これぞ優秀な部下(いや、もはや上司か?)。
実際のワークフロー比較
これまでのフローと、今回のJulesを使ったフロー(私の実験環境)を比較してみましょう。
【これまでのフロー(ChatGPT/Claude)】
- ChatGPTでネタ出しの壁打ちをする(数往復)。
- Claudeで構成案を作り、本文を出力させる。
- Markdownをコピーする。
- VS Codeを開き、新規ファイルを作成する。
- ペーストする。
- 画像パスなどを修正する。
- Gitでコミットしてプッシュする。
【今回のJulesフロー(独自ワークフロー)】
- VS CodeからJulesに接続した環境で、「あのネタでブログ書きたい」と相談。
- 構成案が出る。「OK」と返す。
- Julesがファイルを作成し、本文を直接書き込む。
- 人間がエディタ上でプレビューを見て微修正。
- Jules(CLI)に「今の内容でコミットして」と頼む。
人間がやる作業が「情報の運搬(コピペ)」から「レビューと承認」にシフトしているのが分かります。
まとめ:思考はChatGPT/Claude、実装はJules
もちろん、既存のLLMが不要になったわけではありません。
ゼロベースのふわっとしたアイデア出しや、抽象的な壁打ちにおいては、ChatGPTやArtifactsを持つClaudeのUI体験は依然として強力です。
しかし、「決まった形式で、ルールを守って、成果物(ファイル)を作る」フェーズにおいては、Julesのようなエージェント型AIが圧倒的に有利です。
- 何を書きたいか悩んだら ChatGPT/Claude
- 書くことが決まったら Jules
これからのブログ執筆は、この使い分けがスタンダードになっていくでしょう。
この記事も、私が構成を確認した後は、私のワークフローに組み込んだJulesがドラフト執筆からコミットまでほぼ自律的に行っています(まぁ、私が楽をするためにJulesがいるようなもんですが)。
本来はコードを書くためのJulesに、あえてブログを書かせてみる。
そんな「ハック」を通して、「AIと働く」未来を肌で感じてみてはいかがでしょうか。
ここからは人間が書いてます
プロンプトはここでは紹介しませんが、かなりの精度です。もちろん一発でやってるわけじゃないんで、読んでみてあまりにも唐突な内容だった場合には再度修正してもらったりもしましたが、2回くらいかな。
おそらくは、ここまで書いてもらったものについて、ChatGPTだったりGeminiだったりClaudeだったりに内容を貼り付けて、レビューしてもらったり、加筆してもらったり、読みやすくしてもらったりするのが良いと思います。
あと、どうしてもJulesが「非同期処理」という側面もあって、なかなか返ってこないというのもありますし、学習データ(今回の記事について、過去のgijin.netの記事を全てMarkdownにしたファイルをフォルダにつっこんで、過去記事参照して口調とかを真似てもらうようにした)が多すぎるとハングアップするんですよね。ハングアップは自分で状況確認しないといけないから、まぁその辺りは匙加減が重要かな、と。口調だけならフォルダ内の3つくらいの記事をランダムに読んで、とかいう感じでよさそう。
AGENTS.mdに対しては、こっちから(チャット経由で)内容の追加とかもお願いできるから、育てる楽しみもあるのかもしれません。
まぁ今回みたいにフルに全部書かせる、というのはちょっと微妙(レビューも大変だし)かもしれませんが、記事の骨子をまとめてもらって、そこから手直しするというのはいいかもしれません。最近は記事選びも含めてChatGPTにリサーチしてもらってから内容をまとめてレビューしてもらって、という流れで書いてた私(だから連日長めの記事が投稿できる)ですが、多分今日のやり方の方が圧倒的に速い気がしています。
でもまぁ結局、記事選びとか自分の考えを盛り込むとかいうのは必要ですから、そんなかんたんに「自動化!」というわけにはいかないし、そもそも自動化しても(収益とか考えてるBlogじゃないし)あまり自分にいいこと無いというのもあるので、やれやれ、というところです(苦笑)。


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