入院の話とかもあって、なかなか振り返りができなかったけれど、ようやく落ち着いてきたので、10月13日のベトプロ演奏会の振り返りをしておこうかな、と。
公式noteでは団体としての総括を書きましたが、
👉 ベトプロ2025 演奏会の振り返り(note公式)
ここではもう少し個人的な話──
「主宰・指揮者として、そして一人の人間として」感じたことを残しておこうと思います。
「やり切った」よりも「やっと戻ってこられた」
13年ぶりの再始動。
ほんとに、よくここまで来たなという感じです。
当日のホールでマイクを握ってお客様の前に立ったとき、「私は帰ってきた!」みたいな気分でした(苦笑)。
やっぱりねぇ、音楽と人生は一体、みたいな人間だと私自身は思っているのに、その音楽活動自体をほぼやっていなかったわけですからねぇ。
もうこういう日はやってこないのでは、と覚悟していた部分もありましたから、余計に。
本番が終わった直後は、
「達成感!」というよりも「やっとここに来た…!」という安堵のほうが大きかったです。
この13年、みんなそれぞれの人生を生きていて、
もう二度と同じ形では集まれないと思っていたけれど、
ちゃんと音が鳴るんですよね。しかも“仲間の音”が。
指揮者としての手応えと課題
今回は交響曲第8番。
いわゆる“地味枠”のベートーヴェンなんですけど、
実はテンポも構成も、油断した瞬間に破綻する厄介な曲なんです。
練習回数も限られていたので、
「どこまで理想を追って、どこで手を離すか」というバランスを
ずっと探っていました。
結局全員が集まって合奏できたのは前日(全パート揃ったのも前日)という状況で。
もちろん再演の曲(ピアノ協奏曲第3番、エグモント序曲)があったというのも
大きいのですが、そもそも再演といっても20年ぶりくらいですから・・・。
指揮に関しては、自己分析として、13年前よりは振れるようになっていました。
東京での「ぎじんオケ」経験が、今回かなり大きかったです。
あれはもう修行みたいなもので(笑)。
初対面の方々と午前練習・午後本番。3回やって、最後はマーラー1番。無茶ですよね。
ある意味で無謀でしたが、ある意味で修行で、そしてある意味で血肉になりましたね。
限られた時間で、曲の本質的な部分を、奏者の皆さんに共感をもってもらえるように解説し、
練習も飽きないように進めながら、破綻せずにある程度の音楽的説得力を作る。
とはいえ、指揮のテクニックとしては当然ひどいものなのに、加えて筋力も落ちてるわけで。
指揮に必要な筋肉ってあるんですよ。これが落ちると、棒が安定しませんからねぇ。
それでも。
今回1ヶ月という集中した期間の中で、なんとか皆さんの邪魔をしないようにしつつ、
音楽的な説得力を演奏に持たせることができたのでは、と自画自賛しているところです(苦笑)。
そういう背景もあって、本番は、もう集中力とアドレナリンの世界。
結果として、思った以上にいい“呼吸”ができた気がします。
でもやっぱり、まだまだ課題も山ほど。
テンポ感の掴み方、拍の重心の置き方──
ベートーヴェンって、本当に油断できない。
「8番でこれなら、9番どうすんだよ」と自分にツッコミ入れながら振ってました(笑)。
主宰としてのリアル
裏側の話をすれば、指揮より大変なのはやっぱり運営です。
ホール、チラシ、チケット、SNS、広報、支払い。
下手したら、1日に何度も役職が変わる。
しかも13年ぶりだから、ほぼ“初回起動”状態。
宣伝もリストも仕組みもゼロから作り直し。
AIもSNSも便利になったはずなのに、
最終的にいちばん効いたのは「口コミ」だったという現実(笑)。
でも、250人を超えるお客様が来てくださって、
終演後に「この空気が懐かしかった」と言われたとき、
ああ、これで良かったんだなと思いました。
「音楽の力」より「人のつながり」
あらためて感じたのは、音楽って結局“人”なんですよね。
どんなに譜面を読み込んでも、どんなに構成を考えても、
最後に音を鳴らすのは人。
tutti(全体練習)なんて3回しかなかったのに、
本番であそこまで鳴ったのは奇跡みたいな集中力でした。
いや、奇跡というより“信頼”かもしれません。
終演後、「またこのメンバーでやりたい」と言ってもらえたことが、
一番うれしかったです。
オケって、結局“関係性の音楽”なんですよね。
おわりに──次・・・
今回の経験で確信したことがあります。
それは、「音楽は再現ではなく、再会だ」ということ。
ベトプロという場が、また人と人をつなぎ直してくれた。
それだけで十分意味があったと思っています。
出会い系ですね(苦笑)。
そうか、次ですか・・・そうですよねぇ、次でプロジェクト終わっちゃいますね。
9回目ですもんね・・・あの曲ですよね・・・・。
・・・とりあえず、来年の今頃にはもうプロジェクトは終わっている、とだけ書いておきましょうか。
※こちらは主宰・佐藤個人としての振り返りです。
ベトプロ公式noteの記事はこちら:
👉 ベートーヴェン・プロジェクト・オーケストラ公式note

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