カティア・ブニアティシビリというピアニスト

Music

本番も終えてようやく気持ちも落ち着いてきた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
すっかり秋の様相ですが北のほうはもう冬なんじゃね?ってくらい寒いらしいので体調にはくれぐれもお気をつけくださいませ。

さて、ピアノです。ピアニストです。凄いですよ本当に最近の若手ピアニストの層の厚さは。


オーケストラや指揮者といったものと違い、1人で最初から最後まで演奏が可能なピアニストは、その技量だけでなく個性的な解釈というものを表現しやすいんだと思っています。
そのせいか、現代社会が求めるところの「多様性」というニーズに大きく応えられるという点で、クラシック音楽の世界では「ピアニスト」という人たちは一歩抜きん出ているんじゃないかなぁ、と思うわけです。

今日紹介するのは、その新世代の1人で「カティア・ブニアティシビリ」という方です。
一部では有名(ステージ衣装とか奔放な演奏とか)な方なので、ご存知の方もいらっしゃるかと。
NHK交響楽団とも共演してましたね(シューマンのピアノ協奏曲)。
オケ畑の自分としては、どうしてもピアニストとの出会いは協奏曲ってパターンが多いのですが、この人も私にとってはやはりこの共演が最初の出会いでした。

ということなので、ちゃんとしたソロ曲を聴くのは実は初めてでした。

あ、聴いたのはこちらの盤。

カティア・ブニアティシビリの「Kaleidoscope」を @AppleMusic で聴こう。
https://itun.es/jp/pbe5_

ムソルグルスキーの展覧会の絵、ラヴェルのラ・ヴァルス、ストラヴィンスキーのペトルーシュカから3章。
いずれもピアノ独奏です。

展覧会の絵はどうしてもラヴェルによる名編曲の存在が無視できないんですよね。むしろピアノ独奏でこの曲を聴く人は相対的に見てオケ版聴くよりずっと少ないと思っています。
そして仮にピアノ独奏を聴くにしても、管弦楽による響きがどうしても邪魔をしてしまうというか、純粋に「ピアノ曲」として聴くことが難しいのは私だけでしょうか。

そんな中でも、この演奏は素晴らしい。
管弦楽編曲をちゃんと理解した上で、ピアノじゃないと表現できないことを明確に打ち出してきてる。
この演奏を聴いて「あー、やっぱりピアノ曲なんだなぁこれは」とものすごく納得してしまいました。
冒頭のプロムナードからも、これはやっぱりピアノで演奏されるべきテーマと思わせる説得力があり、以降も管弦楽と違う方向を「あえて狙って」演奏している節があり、意識しつつもうまく違いを(というかこっちが原曲なんですが)ちゃんと表現してるんですよねぇ。だから原曲を聴いた時の「物足りなさ」ってのはあんまり感じられなかったです。
そういう意味でこのグルジア出身の若手ピアニスト(まだ20代だ!)にただただ驚かされるというか。

で、併録のラ・ヴァルスがまたとんでもない演奏でw
展覧会の絵の編曲者に対して「原曲すごいでしょ?」と言いつつ、あえてラヴェル自身の管弦楽曲の傑作をピアノ編曲版で演奏して「ほら、ピアノだって管弦楽曲を演奏できるし、物足りなさなんて全くないのよ」と言っているようです。
というか、このラ・ヴァルスは本当に凄い演奏でして、この曲のピアノ編曲版ってどうしても最後の響きが団子になる(音が多すぎる)ことが多くて、頑張ってる感がすごすぎて逆に管弦楽による余裕が欲しくなることが多いんですよ。

ところが!
この演奏はまるでピアノのために書かれたような、こちらの方が原曲なんじゃないか?と思わされるほどの見事にスッキリとしつつ熱い演奏。ちょっと凄い・・・。

そして最後に、オケの中で使われているピアノを元にした作曲者自身による編曲版ペトルーシュカ。
言い過ぎかもしれないですが、この曲の代表と言われたポリーニに比肩しちゃうかもしれない演奏。
管弦楽の響きがピアノから聴こえてくるかのよう!

まさに「kaleidoscope」とはよくいったものです。
響き、テンポ、強弱、リズム、フレーズ、いろんな要素がそれはもう万華鏡のようにきらびやかに絡みつく。
あぁこれはちょっと癖になるかも・・・。

Amazon Prime Musicには無いようですが、前述のApple MusicやSpotifyにはこのあるばむは存在してますので、興味ある方、ぜひどうぞ。
とりあえずラ・ヴァルスだけ聴いても、損はしないと思います。

Posted from するぷろ for iOS.

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