最近このブログでは、ショパンコンクールがどーした、とか若手奏者がどーしたなど、クラシック音楽の話ばかりしていましたが──
今日はがっつり IT とお金とAI の話です。
ニュースで見た方も多いと思いますが、
SoftBank GroupがNVIDIA株を全部売った
というなかなかインパクトのある話が出てきました。
深夜にXを眺めていた私は、
「え、ここで全部!?」と飲んでたごぼう茶をこぼしそうになりました。
(なお、キーボードは無事でした)
せっかくなので、
・何が起きたのか
・なんでそんなことをしたのか
・そして日本国内向けの生成AI「Sarashina mini」なんかともどう繋がるのか
テック好き・ガジェット好きの一会社員という立場から、ざっくり整理してみます。
もちろん投資アドバイスではなく、ただの深夜の妄想記事ですので、そのつもりでゆるく読んでください。
■ 1. まず事実:NVIDIA株を「3,210万株」「約58億ドル」分、きれいさっぱり手放した
ロイターや投資系メディアの報道によると、SoftBank Groupは2025年10月までに、
保有していたNVIDIA株 3,210万株をすべて売却 したと、11月11日に発表した決算の中で明らかにしました。売却額はおよそ 58億3,000万ドル。 oai_citation:0‡Reuters
しかもこれに加えて、T-Mobile US株も約92億ドル分売却していて、
合計で150億ドル級の現金を手元に積み増した 形です。 oai_citation:1‡Tom’s Hardware
要するに、
- NVIDIA株:全部売った
- T-Mobile株:かなり売った
- 手元キャッシュ:どーんと増やした
という、なかなか大きなポジションチェンジが起きています。
そのうえで、CFOは「この資金はAIへの大型投資に使う」と説明していて、
単なる“怖くなったから逃げた”ではなく、明確に「次のAIステージに突っ込むための原資づくり」という位置づけになっています。 oai_citation:2‡Investopedia
■ 2. 海外:OpenAIと「Stargate」で“AIインフラのど真ん中”を狙うSoftBank
では、その「次のAIステージ」とは何なのか。
ここで出てくるのが、例の 「Stargate(スターゲイト)計画」 です。
OpenAIの公式発表などによると、Stargateは
・アメリカ国内に、OpenAI専用の巨大AIインフラ(データセンター群)を構築する
・投資規模は、最終的に5,000億ドルクラスを目指す
・まずは数千億ドル単位でインフラ投資を進める
という、とんでもなくスケールの大きいプロジェクトです。 oai_citation:3‡OpenAI
さらにStargate LLCという形で、
OpenAI・SoftBank・Oracleなどのジョイントベンチャー として動いており、
孫正義さんはこのプロジェクトで重要な役割(共同創業者・主要株主)を担っています。 oai_citation:4‡ウィキペディア
ざっくりまとめると、
- OpenAI:モデルとソフトウェアの本丸
- Oracle:データセンターの土台
- SoftBank:巨額資金と投資のエンジン
みたいな構図。
冒頭で触れた 「NVIDIAとT-Mobileを売ったお金」 は、
このStargateやOpenAIへの追加投資など、
アメリカでのAIインフラ構築に向けた“弾薬”に補充された と見るのが自然です。 oai_citation:5‡Reuters
■ 3. 国内:国産LLM「Sarashina」「Sarashina mini」というもう一つのAIの顔
SoftBankのAI戦略は、海外だけではありません。
日本国内向けには、
国産LLM「Sarashina」およびその軽量版「Sarashina mini」 を展開しつつあります。 oai_citation:6‡ソフトバンク
ソフトバンクのニュースリリースによると:
- 「Sarashina」
- 約4,600億パラメータ規模の国産LLM
- 日本語に強く、日本の文化や商習慣を理解する設計
- 「Sarashina mini」
- その知見をもとに作られた軽量版モデル
- 日本語性能は維持しつつ、省リソースで動作
- Chat Completion と Embeddings のAPIが提供され、企業システムと連携可能
とのこと。 oai_citation:7‡ソフトバンク
要は、
「海外はOpenAIとStargate、国内はSarashina系LLM」
という、外と中の両方に軸足を持ったAI戦略を進めているわけですね。
NVIDIA株を握っているだけの立場から、
- 海外:OpenAIの“ど真ん中”
- 国内:日本語LLMの“ど真ん中”
という、「プラットフォーム側」にポジションを取りに行っているようにも見えます。
■ 4. じゃあ、なぜNVIDIAを売ったのか? 3つの視点で整理してみる
ここまでの話を踏まえて、
「なんで全部売ったの?」を3つの仮説で整理してみます。
① AIインフラ&OpenAI投資の“弾薬補充”
一番ストレートなのはこれ。
- StargateでアメリカのAIデータセンターに巨額投資をする
- OpenAIへの追加出資や資本提携も続ける
- Vision FundのAI案件も拡大したい
となると、
数十億ドル規模で一気に動かせるキャッシュが欲しい のは当然です。 oai_citation:8‡Reuters
NVIDIA株はすでに十分値上がりしていて、売れば大きな利益が出る。
「ここで一回利確して、次の勝負所へ回す」というのは、投資として非常に合理的です。
② バリュエーションへの警戒とリスク分散
もう一つは、AIバブル(特にGPU周り)の過熱感です。
NVIDIAはここ数年で株価が何倍にもなり、時価総額も歴史的な水準に達していました。
ロイターの記事でも、今回の売却を受けて「AI関連株のバリュエーションに対する警戒が強まった」と指摘されています。 oai_citation:9‡Reuters
- かなり上がりきっている
- どこかで調整が来てもおかしくない
- とはいえAIのポテンシャルそのものは信じている
この状態で、一度大きなポジションを整理しておくのは、リスク管理として自然な判断といえます。
③ 「GPUの株主」ではなく、「AIの全レイヤーのプレイヤー」になるため
そして個人的に一番しっくりきているのが、この第三の視点です。
- ハード側:GPU(NVIDIA)、CPU、データセンター設備
- モデル側:OpenAI、Sarashina
- インフラ側:Stargate(巨大AI施設)
- サービス側:各種AIアプリケーション、APIビジネス
SoftBankは、
「ハードメーカーの株主」から、「AIスタック全体の企画・資金・基盤を握る側」に移ろうとしている
ようにも見えます。
そのために、
NVIDIAという「重要だけど一部分」に集中していたリスクを一度外し、
より広い“AI地図”の中でポジションを取り直している──
そんな感じがします。
■ 5. ガジェット好き目線:スペックから「どのAIの上に乗るか」へ
ここからは完全に、テック好きサラリーマンの雑感です。
ぼく自身、PCやタブレット、スマホを買うときに、
ついつい「CPUは? GPUは? メモリは?」とスペック表ばかり眺めてしまうタイプです。
でも、SoftBankの動きを追いかけていると、
「スペックの時代はもう終わりつつあって、どのAIエコシステムに属するかの時代になっている」
という事実を突きつけられます。
たとえば:
- スマホ:
- カメラ画素数より、AI補正・翻訳・音声認識の精度
- PC:
- ベンチマークスコアより、AIワークフローとの相性(ローカルLLM、クラウドAIとの連携)
- 業務システム:
- どの生成AI APIとつながるか(OpenAIか、Sarashinaか、別の国産モデルか)
今回のNVIDIA売却は、
「GPUのスペック争い」から、「AIエコシステム全体のポジション取り」へ軸を移した
という象徴的な出来事に見えます。
……と、ここまで書いておいて何ですが、
たぶん僕はこの先も、新CPUが出るたびにスペック表を眺めて「あーでもない、こーでもない」と悩み続けるんだろうなと思います。
人間、そう簡単に変われない。
■ 6. まとめ:これは投資助言ではなく、ただの深夜の妄想です
最後に、今回の話をざっくりまとめると:
- SoftBankは2025年10月までに NVIDIA株3,210万株を全て売却(約58億ドル)
- 同時にT-Mobile株も売却し、AI投資向けの巨額キャッシュを確保
- 海外では OpenAI + Stargate を通じて、アメリカのAIインフラど真ん中へ
- 国内では Sarashina/Sarashina mini で日本語LLMの基盤を押さえにかかっている
- つまり「AIから降りた」のではなく、AIスタック全体の“プレイヤー”へポジションを取り直している ように見える
という感じです。
改めて書いておきますが、
これは投資の推奨でも予言でもなく、
「ニュースを読んだテック好きのおじさんの深夜のメモ」 です。
とはいえ、面白い局面にいるのは間違いない。
もしあなたが今、何かに“賭ける”としたら──
- ハード(GPU・デバイス)
- モデル(LLM)
- インフラ(データセンター・電力)
- サービス(アプリ・SaaS)
どこに一番ワクワクを感じますか?
僕はたぶん、今日もスペック表とにらめっこしながら、
その答えをまだ迷っていると思います。

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