昨日の記事(ショパン・コンクール2025──技巧より説得力が勝った夜に)では、
私自身の印象として「技巧よりも説得力が評価された大会だった」と書きました。
今回はその続きとして、世界のメディアやSNSでどのように受け止められたのかを整理してみたいと思います。
実際、今回のショパン・コンクールは、結果そのもの以上に「その受け止め方」をめぐって議論が広がった大会でした。
今回はChatGptのリサーチ機能を使って、現在の賛否両論の状況を整理してみます(昨日の続編みたいな感じですね)。
1. 審査結果への納得感とその理由
肯定派(納得・支持の声)
優勝者エリック・ルー(Eric Lu)さんの「内省的で語りのある演奏」を高く評価する声が多くありました。
ポーランドの文化相は「彼の解釈は成熟と繊細さ、そして驚くべきフレージング感覚に満ちており、まさにショパンの心に近い精神だ」と絶賛しています(Notes from Poland, 2025-10-21)。
また、ルー本人も「このような栄誉に心から感謝しています。夢が叶いました」と喜びを語りました(Reuters, 2025-10-21)。
一方で、ケヴィン・チェン(Kevin Chen)さんの2位を「構築的で知的な音楽」と評価するメディアもあり、
スペイン紙 El País は「意外性のない結果だが、上位2人はそれぞれ異なる美学を体現していた」と論じています(El País, 2025-10-23)。
こうした肯定的な声からは、「技巧ではなく音楽性を重視する新しい時代が始まった」という共通した評価が感じられます。
否定派(違和感・批判の声)
その一方で、「ルーは既に国際的キャリアを持つプロであり、“若手登竜門”としての意義に反する」という指摘もありました。
海外掲示板では、「観客の反応は明らかに冷めていた」「金メダル授与の瞬間も拍手が控えめだった」といった声も投稿されています(Reddit, 2025-10)。
また、審査員の一人が「自分なら17歳の呂天曜(Lyu Tianyao)を優勝にしていた」と発言したことも話題になりました(Slipped Disc, 2025-10)。
さらに音楽学者からは「どんなコンクールにも完全な公平は存在しない。今回はその典型だ」とするコメントも出ています(PAP, 2025-10)。
こうした否定的な意見には、「公平性」「個性」「キャリアの段階」という複数の問題意識が混ざり合っているように見えます。
2. ファイナルでのオーケストラと指揮者の評価
今回のファイナルでは「幻想ポロネーズ Op.61 → 協奏曲」という異例の進行が採用されました。
演奏者がオーケストラを背にしてソロを弾く構成について、
「多くの専門家が“良いアイデアではなかった”とコメントしている」とする投稿もあります(Reddit, 2025-10)。
一方で、演奏者のヴィンセント・オン(Vincent Ong)さんは、
「最初から指揮者ボレイコ氏とオーケストラが横にいてくれたおかげで、独りではないと感じられた」と語っており、
現場ではポジティブな体験として受け止められた面もありました(日本語現地リポートより)。
主催者側も「批判は歓迎します。私たちは常に建設的な意見に耳を傾けています」とコメントしており(PAP, 2025-10-22)、
形式の実験を含め、今後も柔軟に対応していく姿勢を見せています。
3. 審査員構成・影響力・採点制度をめぐる議論
今回の審査委員長は、1970年の優勝者ギャリック・オールソン氏で、
ほかにダン・タイ・ソン氏、ユリアンナ・アヴデーエワ氏など、歴代優勝者を含む17名の国際審査員が参加しました(Wikipedia)。
SNSでは「2人もの入賞者がダン・タイ・ソン門下である」との指摘もあり、
師弟関係が影響しているのではないかという疑念も一部で広がりました(日本語現地報告より)。
採点方式については、今回から1〜25点のスコア方式が導入され、
極端な得点は平均化されるアルゴリズムが採用されています(PAP)。
これは公平性向上の試みとされていますが、「個性が埋没する」「結果が中庸に収束した」との批判もありました。
ある審査員は「私たちは非常に真剣に議論を重ね、芸術的見地から難しい決断を下した」とコメントしています(Reuters, 2025-10-21)。
公平さをめぐる議論は、今大会でもやはり避けて通れなかったようです。
4. 全体的なまとめ
| 視点 | 肯定派 | 否定派 |
|---|---|---|
| 審査結果 | 音楽性重視の新潮流を象徴(Notes from Poland, El País) | 技巧軽視・中庸主義との批判(Reddit, PAP) |
| ファイナル演奏 | 指揮・オケのサポートを評価(現地リポート) | 編曲変更・オケの乱れに不満(Reddit) |
| 審査制度 | 平準化による公平性向上(PAP) | 個性の埋没・師弟構造の不信感(現地報告) |
おわりに
世界の反応を見ても、「技巧から説得力へ」という流れはやはり明確でした。
ただし、その“説得力”が意味するものは人によって異なります。
「静寂に宿る音楽」と受け取る人もいれば、「安全で無難な中庸」と見る人もいます。
それでも、このように多様な議論が生まれること自体、
クラシック音楽がまだ“生きた言葉”を持っている証拠だと感じます。
前回の記事では、私自身の耳で感じた印象を書きました。
今回は、その印象が世界の視点とどう響き合っていたのかを整理した続編でした。
ちょっと次回もこのネタを擦るかは悩むところですが、まぁ一旦の区切りかな。
次回の開催時にまた振り返るための小ネタということで。
一旦ショパンコンクールについてはここまで。また次回が楽しみですね!!!!
参考リンク
- Notes from Poland:Eric Lu wins International Chopin Piano Competition (2025-10-21)
- Reuters:Eric Lu crowned winner of the Chopin Competition (2025-10-21)
- El País:El pianista Eric Lu se impone sin grandes sorpresas (2025-10-23)
- PAP:Chopin 2025 – Eric Lu’s victory is a surprise, says musicologist
- Slipped Disc:The dissent commences
- Wikipedia:XIX International Chopin Piano Competition

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